仕事と雇用の社会学に関する第1回ワークショップ


【ワークショップ開催日時】
日時:2013年4月20日(土曜)の13時から18時まで

会場:東京大学社会科学研究所 赤門総合研究棟5階 センター会議室

【報告1 13時30分から14時20分(30分報告、20分質疑)】
・ タイトル
「岐阜アパレル産業における労働者確保施策の変遷――集団就職、家内労働から技能実習制度へ」
 
・ 報告者
山口塁(立教大学)

・ コメンテーター
藤本真(労働政策研究・研修機構) コメント

・ 概要
1990年から中小企業団体を窓口として外国人研修生を受入れることが可能になって以来、縫製加工業を中心とした繊維・衣服製造業はその最大の受入れ先のひとつである。そして、当該分野での研修生・技能実習生の有力受入れ地域となっているのが岐阜県である。
本報告では、縫製加工業を中心とする岐阜アパレル産業における労働者確保施策の変遷を、各種資料をもとに検討する。集団就職による他県からの若年労働力の受入れ状況や家内労働者の実態などを概観することにより、当該地域・産業で継続的に実施された労働力確保施策が、現在の技能実習制度を利用した労働力確保へと接続される様子が明らかになるであろう。


--10分休憩--

【報告2 14時30分から15時20分 (30分報告、20分質疑)
・ タイトル
「現代スペインにおける雇用システムの変遷と有期雇用――有期雇用になることの意味合いの時間的変化に着目して」

・ 報告者
福田隆巳(東京大学) 資料1 資料2

・ コメンテーター
金野美奈子(東京女子大学)

・ 概要
  1980年代半ば以降,労働市場制度の再編が行われてきたスペインは,「流動性」の面において先駆的な事例であるといえる.雇用パフォーマンスが特徴的であるスペインに着目し,労働市場における有期雇用の「意味」の時間的変化の分析を試みた.
  本報告は,1995年から2001年のEuropean Community Household Panel for Spain調査の匿名データを用いて,個人の客観的側面(賃金)および主観的側面(賃金満足度,仕事満足度)への雇用契約の変数の効果の時間的変化に焦点を当てたものである.分析に際しては,三輪・山本(2012)に倣い,Hybrid Model (within + between group estimator)を利用して「個体内変動の効果」と「個体間の差異の効果」とを区別した推定を行った.


--10分休憩--

【報告3 15時30分から16時20分 (30分報告、20分質疑)
・ タイトル
「ワーク・ライフ・バランス論の矛盾とその危うさ--男性育休取得者の実践と選択に着目して」

・ 報告者
齋藤早苗(東京大学)

・ コメンテーター
池田心豪(労働政策研究・研修機構) コメント

・ 概要
 本報告は、これまで両立問題の当事者として捉えられてこなかった父親/男性労働者に着目し、ワーク・ライフ・バランス論の論理構成に内在する矛盾とその危うさを明らかにすることを目的とする。
 WLB論は、政策をも巻き込み「育児する父親」という社会規範の浸透に大きく寄与した。その一方、長時間労働を容認する職場風土こそが両立問題の根幹であるとその問題点を指摘しながら、なぜ法・社会規範と職場との乖離を埋められないのかについてはほとんど議論されていない。特に、男性労働者がなぜ労働時間を配分できないのかについてのミクロレベルでの研究蓄積は少ない。
 そこで本報告では、ミクロレベルでの職場の暗黙の規範に着目し分析した結果を報告する。その際、労働時間配分がもっとも可視的となる育児休業実践を行なう男性労働者を事例に、父親が職場の規範に制約されながらどのような実践を行なうのかという選択の構造と、WLB論との関連に焦点をあてる。

--10分休憩--
 
特別講演 16時30分から18時

【特別講演 16時30分から18時(60分+質疑)】
・ タイトル
「予告編 拙著『ヴェブレンとその時代』を書き終えて」

・ 講演者
稲上毅氏(東京大学名誉教授)

・ 資料
資料


参加資格等


研究会への参加や研究会での報告をお考えの皆様へ

【参加資格】
原則として大学の教員、研究機関の研究員、大学院の修士課程あるい博士課程の在学者および修了者

【研究会に参加する場合】
事前に名前と所属を下記事務局にご連絡ください。

【研究会での報告を希望する方】
名前、所属、報告テーマを下記事務局にご連絡ください。

【事務局】
津崎克彦(一橋大学総合政策研究室) ktsuzaki◎gmail.com(◎を@に変えてください)


第6回研究会(2012年11月19日)


【日時・会場】
20121119日 17:00-19:30 東京大学 赤門総合研究棟(赤門を入り右手)5階・センター会議室


【報告1
・ タイトル
「中国の労務輸出政策と日本の技能実習制度」

・ 報告者
上林千恵子(法政大学社会学部)

・ 概要

 中国の労務輸出政策は、個人と雇用主間での契約で海外就労する人を除いた、海外派遣労働者を対象としたものである。海外援助、貿易を担当する中央政府の商務部が管轄しており、海外輸出のうちのサービス輸出の一端に位置付けられている。
中国の労務輸出政策は、その前身が社会主義国への経済発展、軍事援助という政治的目的をもつ、海外請負工事にあった。そうした経済援助、友好促進という労務輸出政策は、日本の技能移転による友好促進という技能実習制度の制度的趣旨とかみ合って、日中間の労務輸出・輸入政策は相互に機能してきた。しかし中国の労務輸出先である日本以外の諸国)が、はっきりと労務輸出政策下における中国人受け入れを労働者受け入れとして認めている今日にあっては、日本も労働者受入れを前提に、受け入れ労働者の質向上を求めていくことが求められよう。

・ 配布資料
配布資料


【報告2
・ タイトル
「中小企業における資格の活用と機能」

・ 報告者
藤本真(労働政策研究研修機構研究員)

・ 概要
 職業資格の活用に関してはこれまで、個人データの分析に基づく、資格の保持・取得の効果に関する研究が数多く行われてきた。一方、企業データを基にした調査・分析においては、資格取得に対する支援や、資格取得の評価・処遇への反映などについて主に明らかにされてきたが、企業がどのように職業資格を位置づけ、活用しているかについては十分な分析がなされてきたとは言い難い。そこで本研究では、中小企業を対象としたアンケート調査のデータを用いて、 ①企業における職業資格の位置づけ、②職業資格の位置づけの相違による人材確保に向けた取組み(採用・人材育成)の異同について明らかにしようと試みた。

・ 配布資料
資料 図表 参考資料


第5回研究会(2012年7月31日)


【日時・会場】
2012年7月31日 17:00-19:30 東京大学・赤門総合研究棟・センター会議室


【報告1】
・ タイトル
「若年雇用の非正規化と妊娠・出産期の退職」

・ 報告者
池田心豪(労働政策研究・研修機構)

・ 概要
日本では今日でも多くの女性が第1子妊娠・出産期に退職している。
その傾向は非正規雇用において顕著であるが、第1子妊娠時に非正規雇用である女性の多くは、正規雇用で職業キャリアをスタートしている。初職後の正規雇用から非正規雇用への移行が、第1子妊娠・出産期の退職率を高めているといえる。
そこで、全国30-44歳の女性の経歴データを用いて、初職は正規雇用の女性が第1子妊娠までに非正規雇用に移行する要因を分析した。

・ 参考文献
『出産・育児と就業継続―労働力の流動化と夜型社会への対応を―』
(労働政策研究・研修機構、労働政策研究報告書No.150、2012年)
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2012/0150.htm 



【報告2】
・ タイトル
「若年期における非正規雇用からの移行の規定要因分析--Scarring Effect・再考」

・ 報告者
福井康貴(東京大学)

・ 概要
本報告では,非正規雇用の初職から非正規雇用以外の就業状態へのはじめての移行に着目し.離学コーホート,離学時における労働市場環境,離学時における無業期間という3つの要因が,正規雇用および無業への移行にどのような影響をおよぼしているのか,サバイバル分析(競合リスクモデル)によって検討した.

・ 配布資料
配布資料


第4回研究会(2012年5月22日)


【日時・会場】
2012年5月22日 17:00-19:30 東京大学・赤門総合研究棟・センター会議室


【報告1】
・ タイトル
「個人請負就業者の「労働者性」と就業選択--個人請負の働き方への志向と教育訓練機会に着目して」

・ 報告者
佐野嘉秀(法政大学・経営学部准教授)

・ 概要
個人請負就業者へのアンケート調査の分析から、1)個人請負就業者の労働者性の程度には幅があり、労働者性が高い層では、労働者性に関して雇用者と同様の働き方をしている可能性があること、2)労働者性が高いほど、個人請負としての就業について積極的な理由を指摘する割合が低く、働き方の現状への不満が大きく、雇用者への転換を希望する傾向にあること、3)ただし、労働者性の高い層も含め、個人請負の働き方の継続はキャリアの重要な選択肢となっていること、4)個人請負としての就業のなかで労働者性の低い働き方へ移行するのに伴い、教育訓練の機会が減る可能性があることを示し、能力開発(自己啓発)への支援等、働き方に関する志向の多様性を踏まえた就業支援の重要性を指摘した。

・ 参考文献
佐野嘉秀・佐藤博樹・大木栄一(2012)「個人請負就業者の「労働者性」と就業選択ーー個人請負就業者への志向と教育訓練に着目して」『日本労働研究雑誌』NO.624,労働政策研究研修機構
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2012/07/sum6.htm



【報告2】
・ タイトル
「ライフスタイル選好の多様性は個人の福利とどうかかわるか--ワーク・ライフ・バランス論への一視座」

・ 報告者
金野美奈子(東京女子大学)



第3回研究会(2012年3月8日)

【日時・会場】
2012年3月8日 17:00-19:30 東京大学・赤門総合研究棟・センター作業室


【報告1】
・ タイトル
「日本と韓国における外国人労働者政策の形成と変容に関する考察―支援団体の調査を中心に―」

・ 報告者
李惠珍(一橋大学)



【報告2】
・ タイトル
「『キャリア社会学序説』について語る」

・ 報告者
佐藤厚(法政大学)

・ 概要
 「仕事」を社会学するとは、どのような対象について、どのような方法意識でアプローチし、どのような含意を得ることを指すのか?本研究会立ち上げの趣旨に多少とも貢献したいと考え、最近出版した拙著佐藤厚(2011年)『キャリア社会学序説』泉文堂をテキストに、①執筆の背景と動機、②問題意識、③本書の構成と主な内容、について紹介した。

・ 配布資料
資料1 資料2 資料3




第2回研究会(2011年12月13日)

【日時・会場】
2011年12月13日 17:00-19:30 東京大学・赤門総合研究棟・センター作業室


【報告1】
・ タイトル
「フィリピン人エンターテイナーの就労はなぜ拡大したのか」

・ 報告者
津崎克彦 (一橋大学)

・ 概要
1990年以降、日本の労働市場の国際化が本格的に進展しはじめたが、フィリピン人エンターテイナーの就労はその先駆となる事象であった。なぜフィリピン人エンターテイナーの就労が拡大したのか。本報告では、エンターテイナー本人、産業、就労ネットワーク、顧客に対する実態調査と日本社会の変容に注目しつつ、この問題を論じた。

・ 配布資料
配布資料1 配布資料2(要約)

・ 参考文献
津崎克彦(2010)「フィリピン人エンターテイナーの就労はなぜ拡大したのか 盛り場のグローバリゼーション」『労働再審2 越境する労働と<移民>』大月書店. → アマゾン


【報告2】
・ タイトル
「女性の働き方・労働時間と就業継続―就業時間帯に着目して」

・ 報告者
高見具広 (東京大学)

・ 概要
女性の就業継続を阻害する要因として労働時間があるが、問題は労働時間の長さよりむしろ、「いつ働くか」という就業時間帯なのではないか。近年では、「9時~17時」という標準的な就業時間帯にはおさまらない、所定終業時刻が18時以降に設定されている仕事が拡大傾向にある。
こうした夕方・夜間の就業は、女性の就業継続に対して問題を生じさせる。
具体的には、第1子妊娠に際して、勤め先に育児休業制度がない場合は退職(出産退職)になりやすい。育休がある場合は出産退職を回避できるが、その場合でも、復職以降にその働き方を続けられず退職しやすいという問題がある。


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